機密情報の漏洩原因とその防止策

近年、企業や組織における機密情報の漏洩が相次ぎ、重大な損害をもたらしています。機密情報の漏洩は、企業の信頼を損なうだけでなく、法的責任を問われることもあります。本コラムでは、機密情報が漏洩する主な原因と、それを防ぐための効果的な対策について解説します。本シリーズは全5回のうちの第2回目となり、機密情報の漏洩リスクに関する理解を深め、具体的な防止策を考える機会を提供します。

機密情報漏洩の外部要因

機密情報の漏洩は、企業の内外を問わずさまざまな要因によって発生します。特に外部からの攻撃は、組織のセキュリティ対策が不十分な場合に深刻な被害をもたらします。まずは、企業が直面する外部からの脅威について詳しく見ていきましょう。

ハッキング

ハッキングとは、攻撃者が企業のシステムに不正に侵入し、機密情報を盗み出す行為を指します。攻撃者は、企業のネットワークやソフトウェアの脆弱性を悪用し、不正アクセスを試みます。例えば、システムのセキュリティホールを突いて内部ネットワークに侵入するケースや、標的型攻撃を用いて特定の社員を狙い、認証情報を盗み出す手口が存在します。また、ランサムウェアを用いた攻撃では、企業の重要データを暗号化し、復号のために身代金を要求するケースも増えています。ハッキングの手法は年々高度化しており、企業は常に最新のセキュリティ対策を講じる必要があります。

フィッシング攻撃

フィッシング攻撃は、攻撃者が従業員を騙して機密情報を盗み出す手法です。典型的な方法として、公式を装った偽のログインページを用意し、従業員にパスワードを入力させるケースが挙げられます。また、偽の請求書や契約書を装ったメールを送り、悪意のあるマルウェアをインストールさせる手口もあります。最近では、SNSを利用して従業員に直接接触し、信頼関係を築いた上で機密情報を聞き出すケースも報告されています。フィッシング攻撃は巧妙化しており、従業員の警戒心を高めることが重要です。

機密情報漏洩の内部要因

外部攻撃だけでなく、企業内部の問題によっても機密情報が漏洩するリスクがあります。従業員の不注意や管理体制の不備、不正行為などが情報漏洩につながるケースも少なくありません。次に、内部要因による情報漏洩のリスクについて掘り下げていきます。

ヒューマンエラー

従業員の誤操作や不注意による情報漏洩は、企業にとって大きなリスクです。例えば、メールの誤送信により機密情報が関係者以外に届いてしまうケースがあります。また、USBメモリやノートパソコンを紛失することで、内部情報が第三者に渡る可能性もあります。さらに、クラウドサービスの設定ミスにより、本来非公開であるべき情報がインターネット上で誰でも閲覧できる状態になってしまうこともあります。このようなヒューマンエラーは、適切な教育とルールの整備によって予防することができます。

不適切な権限管理

機密情報へのアクセス権限が適切に管理されていないと、不必要な従業員や外部の関係者が情報にアクセスできる可能性があります。例えば、退職した従業員のアカウントがそのまま残っていると、不正利用のリスクが生じます。また、部門を超えた不適切な情報共有が行われたり、権限管理のルールが曖昧なために不必要なアクセスが許可されているケースもあります。権限管理を適切に行うことで、情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。

悪意を持った内部不正

内部の従業員や関係者が意図的に機密情報を持ち出すケースもあります。例えば、競合企業への転職を予定している従業員が、事前に機密情報をコピーして持ち出すケースが考えられます。また、企業に対して不満を抱えている従業員が、報復目的で情報を外部に流出させることもあります。さらに、内部関係者が金銭的な利益を得る目的で情報を第三者に販売する事例も報告されています。このようなリスクを防ぐためには、アクセスログの監視や不審な行動の早期検知が重要です。

効果的な防止策

機密情報の漏洩は、外部からの攻撃だけでなく、内部の不適切な管理や不正行為によっても発生します。そのため、企業は多面的な対策を講じる必要があります。では、情報漏洩を防ぐための具体的な防止策を見ていきましょう。

セキュリティポリシーの策定と運用

企業全体で統一されたセキュリティポリシーを策定し、運用することで情報漏洩リスクを最小限に抑えられます。具体的には、機密情報の取扱ルールを明確にし、アクセス権限の管理を徹底することが重要です。また、情報セキュリティに関するインシデント対応計画を策定し、万が一の事態にも迅速に対応できる体制を整える必要があります。セキュリティポリシーの適用を全従業員に周知し、定期的な見直しを行うことで、より実効性のある対策が可能となります。

職場環境の改善

セキュリティを強化するためには、職場環境の整備も重要です。風通しの良い職場環境を構築することで、内部不正のリスクを低減できます。社員同士のコミュニケーションを促進し、信頼関係を築くことが、不正行為を未然に防ぐ重要な要素となります。従業員の不満やストレスを軽減するために、定期的な意見交換の場を設け、職場の課題を率直に話し合う文化を育むことが求められます。

また、上司と部下の間でオープンな対話を推奨し、意見を自由に言える環境を整えることで、不満や不正の温床となる要素を排除できます。さらに、公平で透明性の高い人事制度を確立し、従業員の努力が正当に評価される仕組みを構築することも、不正防止の観点から重要です。適切な報酬やキャリアパスを提供することで、従業員のモチベーションを維持し、不正行為への誘惑を低減する効果が期待できます。

社員への教育

従業員の意識向上が、情報漏洩対策の鍵となります。定期的なセキュリティ研修を実施し、機密情報の重要性と取り扱いに関するリスクを理解させることが必要です。特に、フィッシング攻撃などの手口に対する訓練を行い、従業員が不審なメールやリンクを見極めるスキルを身につけることが求められます。また、企業のセキュリティポリシーや情報取り扱いルールを明確に伝え、従業員が適切な判断をできるようにすることで、ヒューマンエラーによる漏洩を防ぐ効果が期待できます。

情報漏洩防止ソリューションの導入

技術的な対策として、情報漏洩防止ソリューションの導入が有効です。これにより、機密情報の流出リスクを可視化し、適切な管理を行うことが可能になります。情報漏洩は企業の信頼や競争力を大きく損なうため、単なるセキュリティ対策ではなく、組織全体のリスクマネジメントの一環として捉えることが重要です。ソリューションを導入することで、機密情報の取り扱いを徹底し、従業員の意識改革を促進することも期待できます。さらに、万が一のインシデント発生時には迅速な対応が可能となり、被害の最小化につながります。

まとめ

機密情報を守ることは、企業の信用を維持し、長期的な競争力を確保するために欠かせません。一度でも情報が漏洩すれば、企業イメージの失墜や取引先からの信頼喪失につながり、回復には多大な時間とコストがかかります。したがって、日々の業務の中で機密情報の取り扱いに細心の注意を払い、社内全体で一貫した意識と体制を整えることが求められます。組織として継続的にセキュリティ対策を強化し、あらゆるリスクに備える姿勢が重要です。

次回予告

次回のコラムでは、こうした対策をより強固なものにするためのテクノロジーについてご紹介します。具体的には、情報へのアクセス制御と使用制限を実現する33つのソリューションを解説していきます。セキュリティ対策の選定や導入に役立つ内容となっていますので、ぜひご覧ください。

カタログ・資料ダウンロードはこちら

製品資料
製品説明資料
機密情報ファイル 保護・管理システム「DataClasys(データクレシス)」の資料です。
事例集
導入事例集
サイバー攻撃対策や内部不正対策、サプライチェーンからの漏洩対策についても複数の事例を掲載。

著者

データクレシス マーケティングチーム

セキュリティ分野における最新情報や重要なトピックスを発信するコラムです。企業の情報セキュリティに役立つ知識をお届けします。

セキュリティ最新情報をメールでお届け!登録はこちら