機密情報保護のために有効なテクノロジー

前回のコラムでは、情報漏洩の主な原因として、内部不正や外部からの攻撃、不適切な管理体制などがあることを解説し、それらを防ぐための基本的な対策について紹介しました。しかし、セキュリティ対策は単なるポリシーや運用ルールだけでは十分ではなく、効果的なテクノロジーの活用が不可欠です。
機密情報の保護は企業にとって極めて重要な課題です。サイバー攻撃や内部不正による情報漏洩のリスクが高まる中、さまざまなテクノロジーが機密情報の保護に貢献しています。本コラムでは、特に機密情報の保護に有効な3つのテクノロジーを紹介します。
IRM(Information Rights Management)
IRMは、機密情報の不正アクセスを防ぎ、ユーザーごとの詳細なアクセス制御を可能にする技術です。IRMを活用することで、以下のような制御が可能になります。
- 文書の閲覧は許可するが、コピーや印刷は制限する。
- 文書の有効期限を設定し、一定期間が過ぎると自動的にアクセスを無効化する。
- 企業外部のユーザーに一時的なアクセス権を付与し、用途が終わるとアクセス権を取り消す。
さらに、IRMは情報の暗号化を行うことで、第三者による不正なデータ閲覧を防ぐ役割も果たします。これにより、仮にデータが流出しても、許可されたユーザー以外は内容を解読できません。また、IRMは外部からの攻撃対策にも有効であり、不正アクセスが試みられた場合、アクセス制御機能が機能し、不正利用を防ぐことができます。
IRMを導入することで、企業のデータガバナンスを強化し、機密情報の安全性を高めることができます。
EDR(Endpoint Detection and Response)
EDRは、企業のPCやスマートフォンなどのエンドポイントを監視し、不正アクセスやマルウェア感染をリアルタイムで検知・対応する技術です。
- 行動分析:通常とは異なる操作を検知し、異常なアクセスを即座に警告。
- 脅威インテリジェンス:最新のサイバー攻撃手法を学習し、新たな脅威に対応。
- 自動対応:異常が検出された場合、迅速にアクセス制限やネットワーク隔離を実行。
- フォレンジック機能:攻撃の履歴を記録・分析し、今後の対策に活かす。
- クラウド連携:クラウド上のデータと連携し、広範囲な監視・防御を実現。
EDRを活用することで、ゼロデイ攻撃や標的型攻撃に対する防御が強化され、機密情報を安全に保護することができます。また、EDRは企業全体のセキュリティ可視化を向上させ、迅速な対応を可能にするため、業務継続性の確保にも貢献します。さらに、EDRの運用データを分析することで、潜在的なセキュリティリスクを事前に特定し、より高度な防御策を講じることができます。
バックアップ
サイバー攻撃やデータ破損に備えるため、バックアップは機密情報保護において不可欠な対策です。特に、ランサムウェア攻撃の増加に伴い、迅速なデータ復旧が求められています。
- データの定期的なバックアップ:定期的にデータを保存し、万が一の障害時に迅速な復旧を可能にする。
- 多重バックアップの活用:オンプレミス、クラウド、外部ストレージなど複数のバックアップ手段を併用し、安全性を高める。
- データ整合性チェック:バックアップデータの破損や不整合を定期的に検証し、確実に復元できるようにする。
- 迅速な復旧プロセス:バックアップデータの復元を迅速に行う手順を整備し、業務の停止時間を最小限に抑える。
バックアップの導入により、データ消失リスクを軽減し、企業の重要な情報資産を守ることができます。また、システム障害やランサムウェア攻撃の影響を最小限に抑え、迅速な業務復旧を実現できるため、事業継続性の確保にも寄与します。
まとめ
IRMによるアクセス制御、EDRを活用したエンドポイント保護、バックアップ技術によるデータ復旧の仕組みを適切に組み合わせることで、機密情報を内部要因と外部要因の両方から守ることができます。IRMは情報の適切な管理と制限を行い、内部不正による漏洩を防止します。EDRは外部からの攻撃を検知・対応し、リアルタイムでのセキュリティ対策を実現します。そして、バックアップは万が一のデータ消失時に迅速な復旧を可能にし、業務の継続性を確保します。
企業は、これらの技術を組み合わせた包括的なセキュリティ対策を導入することで、情報漏洩リスクを最小限に抑え、信頼性の高い情報管理体制を構築することが求められます。
次回予告
次回のコラムでは、「ファイル暗号化が防ぐセキュリティリスクとその有用性」をテーマに、情報漏洩リスクに対するファイル暗号化の有効性や導入メリットについて詳しく解説します。ぜひご期待ください。
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