マツダ株式会社様

   マツダ株式会社

所 在 地 : 広島県安芸郡府中町新地3番1号
設   立 : 1920年1月
資 本 金 : 2,840億円
社 員 数 : 48,750人
https://www.mazda.com/ja/
自動車メーカーのマツダでは、海外工場での量産準備を効率化して迅速に量産を立ち上げられるよう、新車の製品データをDataClasysで自動的に暗号化して情報漏えい対策を施した上で、海外工場と共有する仕組みを構築しました。その結果、海外工場でも新車データを基に早期に量産準備を進められるようになり、従来よりも早く海外工場での量産を開始できるようになりました。

[導入前の課題]

  • 生産設計への早期着手、網羅的な評価の実施による手戻り抑制のために機密情報である製品データを海外生産拠点と共有する必要があった。
  • 自社で利用するCADソフトウェアに対応した情報漏えい防止策を模索していた。

[導入後の効果]

  • 国内生産との量産開始時期の差異を短縮し、海外生産拠点での量産開始時期を早めることができた。
  • 量産準備業務にほぼ影響を及ぼすことなく、ファイル暗号化による情報漏えい対策を実現できた。

海外生産拠点とのセキュアな製品データの共有により、グローバル量産準備への早期着手・早期量産立上げを実現

グローバル量産体制の準備をより短期間かつ高精度で行うには

マツダ株式会社は、広島県に本拠を構える大手自動車メーカー。「走る歓び」を体現する優れた走行性能、そして独自のデザインコンセプト「魂動デザイン」を身にまとった同社の車は、国内はもとより海外でも数多くのファンを獲得しています。

現在同社の生産技術部門が中心となって進めているのが「G1E(Global One Engineering)」と呼ばれる活動です。その目的について、同社 技術本部 生技開発推進部 副主査 下向満氏は次のように説明します。

マツダ株式会社
技術本部 生技開発推進部 副主査
下向 満様

「海外を含む複数の生産拠点で新車の量産体制を整備するには、まず本社が主体となって各生産拠点で準備すべき工程を机上で検討します。同じ車を導入するといっても、拠点毎に混流生産している車が異なる上、その生産工程も同一ではないため、その差異を加味しながらグローバルでの生産設計を進める必要があります。

この生産設計は、従来、本社が一括して行って来ましたが、前述の差異をすべて把握するのは難しく、その確認と結果に基づく生産設計に長期間を要していました。また生産設計の後にも検討不足による問題が見付かり、手戻りが発生することもありました。

そこで生産設計の精度を高めて手戻りの発生を抑制するため、本社だけでなく、海外生産拠点のエンジニアも交えた生産設計を同時期に行うよう量産準備プロセスを見直しました。この一括生産設計を、弊社では『G1E: グローバル・ワン・エンジニアリング』と呼称しています。」

「DataClasys」でファイルを暗号化して送付する方式を採用

当初は海外生産拠点のエンジニアを本社に呼び、本社の担当者と直接顔を合わせながら検討する方式をとっていました。しかしこのやり方には、自ずと限界があったといいます。

「新車の製品データは機密情報のため、万が一にも漏えいがあってはなりません。そのため、データを海外生産拠点に送付するのではなく、各拠点のエンジニアに本社に来てもらい、機密が担保された場所でデータを見てもらうことにより漏えい防止を図っていました。しかしこの方法では時間やコストが掛かってしまいました。(下向氏)

そのため、こうしたやり方に変わる新たな情報共有の方法を検討する必要性に迫られました。早速さまざまな方式を検討したところ、ファイルを暗号化することで情報の外部漏えいを防ぐ「DRM(Digital Rights Management)」ソリューションが同社の要件を最も満たすであろうとの結論に至りました。

マツダ株式会社
MDI&IT本部 エンジニアリングシステム部
シニアスペシャリスト
三好 和仁様

そこで主だったDRM製品を6種類ほどピックアップし、それぞれの機能やスペックを比較検討した結果、最終的に同社が選んだのが「DataClasys(データクレシス)」でした。マツダ MDI&IT本部 エンジニアリングシステム部 シニアスペシャリスト 三好和仁氏は、同社がDataClasysを選んだ主な理由を以下のように述べます。

「長年弊社のITパートナーとしてお付き合いしている株式会社電通国際情報サービス(ISID)様に相談したところ、過去にDataClasysを導入した経験があり、かつ弊社が利用しているCADソフトウェアのデータも扱えることを教えていただきました。他の製品はCADデータをサポートしていないものが多かった中、DataClasysは確かな実績がある点が最大の決め手になりました」

また「権限設定のきめ細かさ」「対応システムの多様さ」といった他の比較項目においても、DataClasysが最も多く要件を満たしていたため、最終的に同製品の採用に至ったといいます。

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※本事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています
※2022年11月取材